市政報告№190号です。
5月25日、まちづくり委員会で、嵯峨野の竹林伐採問題を取り上げました。
(更新日:2018年06月05日)
山田 右京区嵯峨天龍寺立石町の一区画、約8,963㎡の内、東端の一部を除く約8500平方メートルの竹林が、伐採され、「景観が台無しだ」との声が地元のみならず、観光客など広範に上がっている。
一帯は野々宮神社を囲むように竹林が広がり、大半は古都保存法による歴史的風土特別保存地区で、木や竹の伐採など一切の現状変更は禁止されている。計画地西側の隣地の一部、約3,800㎡を、市有地とすることで、竹林が守られている。この竹林と一体のこの土地の現状変更は市長の許可が必要だ。現状変更の申請は、昨年11月8日に出され、1ヶ月あまりの12月4日に許可されている。どのような経緯で許可されたのか。
→山本部長 風致地区第二種地域。歴史的風土特別保存地区には入っていない。風致の手続きは、12月14日に許可している。
山田 問題の土地は、北嵯峨・嵯峨野特別修景地域、風致地区第2種地域に指定され、風致地区条例では、「市長は風致を維持するための地区計画を定めなければならない」とし、嵯峨嵐山地区保全計画が策定されており、「ものさびた風情の中に寺院や庵居跡などがある。小倉山西麓部では、平安ゆかりの史跡郡や竹薮の続く小道が独特の風景をかもし出している」と保全計画に記され、景観保全が義務付けられている。風致地区条例施行規則の第16条では、風致保全緑地を設けるものとされている土地の形質の変更を許可しようとする場合においては、当該土地の形質の変更が風致の維持に特に重大な支障を生じさせる恐れがあるものと認めるときは、あらかじめ審議会に諮るものとする。とある。審議会の開催は。
→山本部長 風致地区の規制より、既存緑地、竹林の6割を風致保全緑地として保全する。さらにその7割を従前の植生を残すという基準がある。この基準に合致している。あわせて、建築物の規模も諮問の目安の5千㎡に達していない。天龍寺のバッファゾーンにも入っていない。審議会には諮問していない。なお、委員が冒頭8500平方メートルの竹林が伐採言ったが8,500㎡はは既存竹林全部の面積。伐採したのはその一部だ。
山田 審議会の審議会に諮る規程は、「当該土地の形質の変更が風致の維持に特に重大な支障を生じさせる恐れがあるものと認めるときは、あらかじめ審議会に諮る」とある。今の答弁は、現状変更の許可を出す場合、竹林の6割残すことを規程されているのであって、今回6割を残すから審議会に諮らなくてもいいことにはならない。5000㎡に達していないから諮らなかったとの答弁だったが、施行規則のどこにも5000㎡の規定はないではないか。
→山本部長 諮問の目安として持っているラインが5000㎡。諸々の風致の基準に合っているかどうか。周辺の状況等も考慮する。天龍寺のバッファゾーンに入っていない。天龍寺からも望見されないということを勘案した。
山田 多くの方は、天竜寺のバッファゾーンに繋がる竹林で、天竜寺の竹林と一体のものと認識している。風致の維持に重大な支障を生じさせていると多くの方が感じている。これが多くの認識だ。風致を維持するための地区計画を定めているわけだから、審議会が開かれていれば、許可されなかった可能性があったのでは。
→山本部長 竹林同士はお隣さんどうし。境界線から西側は、古都保存法に基づく歴史的風土保存地区に入っている、京都市が買い入れている土地。東側はそれとは違う、土地利用を前提とした規制をかけ、風致第二種地域で、風致を守っている地域、一体ではない。
山田 そんな形で、地域の景観をなし崩しに壊していく事は大問題。風致維持のための地区計画を定めて景観を守っていくとしているわけだから、京都市の判断として許可しない判断が必要だ。観光客などからも竹林伐採に「どうなっているんだ」との声もある。こうした声を重く受け止めることが必要だ。
次に、京都市中高層建築物等の建築等に係る住環境の保全及び形成に関する条例について質問する。問題の土地の用途地域は、第一種低層住居専用地域。軒の高さが7mを超える建築物がこの条例の対象建築物。今回の計画は高さ9.995mで、条例第11条で標識の設置。第12条で建築計画の説明が定められている。実施の状況は。
→中山建築指導部長 平成29年12月2日標識を設置し、設置届けが出された。周辺への説明実施状況報告書を受理している。12月13日届出済み印、一連の届出は完了している。
山田 中高層条例で定められた、敷地境界から15m以内の近隣住民は僅か、28件。28件の中には、天龍寺やJR、京都市なども含まれている。また、店舗などもあり、地域住民と言える方はごく僅か。低層の建築物ではあるが、これだけ広大な開発だ。住環境の保全形成というのであれば、15m以内に留めず、広く住民の声を聞くべきだ。
→中山 中高層条例の目的は、建物が建つことによる周辺住民への影響について周辺住民への配慮を求めている。その観点から説明の範囲を設定している。敷地の規模により説明の範囲を定めるというのはなじまないというのが認識。
山田 住民が置き去りにされ、風致地区内における現状変更の許可が下り、建築確認の目処が付いた、1月13日に、嵯峨市営住宅において、工事説明会が開催されている。説明会の状況は把握されているのか。
→中山 12月13日で手続きは完了しているという認識。説明会が開催されたということは事業者から聞いている。
山田 1月13日の説明会は、15日から工事を始めるという説明。建築確認が下りたのは1月31日。確認が下りる前の工事着工は違法ではないのか。
→中山部長 説明会の内容は事業者からの報告で、その場に職員がいたわけではない。どういった説明がされたか定かではない。事業者からの聞き取りでは15日に確認済み証が発行されている。建築工事に該当する工事は、杭基礎工事は3月1日から、打設が始まったことを確認している。
山田 15日に受理証が発行されて工事の開始は。
→中山部長 日付は訂正する。1月31日付で確認済み証に交付でした。訂正する。
山田 工事の着工は。
→中山部長 事業者からは3月1日に基礎杭に打設に着手したと報告を受けている。
山田 地元の説明会では1月15日に工事を着工すると説明されており、竹林の伐採が始まっていた。実際はどうだったんだ。
→山本部長 風致地区の許可と、建築基準法の確認の話がごっちゃになっているので整理をする。風致の許可については平成29年12月14日に許可をし、工事期間としているのは1月15日から。建築物の工事に入る前のもろもろの作業。1月31日に建築基準法による確認が取れて、建築工事着工は3月1日で、矛盾はない。
山田 1月15日以降、風致の現状変更の許可が出たので、竹林の伐採を行い、事前準備で建築工事ではない。建築確認は1月31日に下りて、建築工事の着工は3月1日ということか。いずれにしても、住民の声を聞くという姿勢が無いものだ。そもそも、事業者は特定の自治会役員への説明で済ますつもりだったようだが、自治会役員さんは「私ひとりで聴くのではなく、もっと多くの方に知っていただきたい」と開かれたのがこの説明会。住民の方からは、工事用車両による被害や通学路の安全対策、汚染水の排水や、各種届や許可、建物の高さや、ベネッセの運営する老人ホームの運営など様々疑問が出され、7時から始まった集会は10時15分まで続き、話し合いの継続を求めて終わっているが、話し合いは中断している。住民の理科のないまま、工事は始まっている。継続した話し合いが必要だ。事業者への指導を求める。
→山本部長 1月13日の説明会の後、1月29日、3月17日にも説明会を開催していると聞いている。様々な要望を聞いている。丁寧に対応するように指導している。
山田 1月29日、3月17日の説明会はどのような範囲で行ったのか。
→手元に資料がない。日付しかわからない。
山田 地元では1月13日以降説明会は中断しているという認識。京都市に対しても、要望書が郵送されていると聞いているが、どのような内容で、回答はされたのか。
→山本部長 公開質問状というタイトルで、差出人は「美しい嵯峨野の竹林を守る地球市民の会」。提出日は3月19日に秘書課に届いている。回答は、質問者の指定で5月15日に電子メールにて行った。
山田 説明会では「埋蔵文化財」についても質問されている。事業者の回答は「何ヶ所か試掘したが何も出てこない。何か埋蔵物があったとしても5メートル以上深いところにしかない」との回答だったそうだ。事実に反する説明を行っている。実際には、平成29年7月18日、19日に試掘調査を行い、結果は、地表面から65センチ下に、壇林寺跡及び嵯峨遺跡に関する溝や柱跡など遺構を確認するとともに、平安時代の土師器(はじき)、緑柚陶器(りょくゆうとうき)、中世の土器、瓦など遺物が出土したことから保存が必要であることがわかった。工事事業者に、記録保存のための発掘調査を指導した。指導を受けた事業者は、遺跡を地中で現状のまま保存できるよう基準となる地表面から30cmまでの掘削工事になるよう設計変更している。遺跡の存在を認識していたのにもかかわらず、何故,事実に反する説明を事業者行ったのか。住民の方は軽視されていると感じ、説明会でウソをついていると怒りの声があがっている。この様な事業者が、許可条件を守るのかとの危惧する声があがっている。この点でも適切な指導を求める。
→中山部長 文化市民局から昨日の委員会で答弁している。担当職員立会いのもと昨年、試掘も行われ、そのうえで計画がすすめられた。
山田 隠す必要がなかった。試掘も行い、何度も立ち合いをしている。なぜ1月13日の説明会で事実を偽ったのか。はっきりさせる必要がある。僅か30cmの基礎工事で、耐震性など担保されているのか疑問だ。設計変更は12月に行われている。翌月1月31日に建築確認が降りている。耐震性を含め、建物の安全が確かなものか精査が必要ではないか。
→中山部長 平成10年の建築基準法改正に伴い、11年から民間確認検査機構により確認申請の受付を行い、年間6,000件足らずの申請があり、当該検査も民間で行っている。適法性の確認は審査され、構造偽造を受けて構造審査厳格性についても構造適判という第三者機関で審査され厳格性と十分な安全は確保されている。
山田 民間で行われているとはいえ、京都市としてもしっかりと見定めよ。当該地の西隣の竹林の散策路にについて質す。京都市右京区嵯峨天龍寺立石町1-46 5-12 5-13の3筆3,795㎡の竹林。この竹林は、自然・歴史的景観の保全に関する計画のなかで、歴史的風土の保存に関する基本方針で、特に枢要な地域を、都市計画に歴史的風土特別保存地区として定め、原則として現状変更行為を禁止するとともに、規制により土地の利用に著しい支障をきたす場合においては、土地の所有者からの申し出により買い入れることによって、歴史的風土の保存を図る。として京都市が買い取った土地ではないのか。
→中山部長 買い入れた土地です。
山田 現状変更が禁止されているのに、京都市が遊歩道の整備している。京都市が自ら定めた保全計画に反する、現状変更ではないのか。こんなでたらめなことは許されない。
→山本部長 開発行為、建築行為については厳しく制限されているが、日常の管理行為は認められている。何にもできないということではない。
山田 鬱蒼とした、竹林の風情は台無しになっている。立ち入ることができなかった竹林に、遊歩道がつくられ観光客が入り込み、竹を傷つける事態まで発生している。これで、日常的な管理といえるのか。
→山本部長 特別保存地区として買い入れしている土地は、約290ha。管理費も年間3000万円以上かかるようになる。できるだけ有効活用したい。有効利用する観点で、散策路として開放する。良好な竹林景観として、歴史都市京都の魅力の向上に資していく。日常の管理は、人力車を運営しているえびすやさんと管理協定を結んでいる。モデルケースとなる事業。
山田 有効活用ということで、鬱蒼とした竹林の風情が無くなり、遊歩道が整備され観光客が入り込み、竹を傷つける事態。由々しき事態だ。歴史的風土を守るのがあなた方の仕事。風致保全課の名に恥じない仕事を求める。京都が京都で無くなる危機感を感じる。総合的な判断もなく、条例に適合していると機械的に許可を出すことによって、京都の景観が次々破壊されている。狭い範囲で認めた開発が、次々と許可されれば京都が京都でなくなる、重大な事態を招くのではないか。現にこの周辺で竹林と言える場所は、天竜寺北門から大河内山荘のわずか100メートルほどしか残っていない。京都を訪れた観光客が失望し、満足度は大きく落ち込んでいる。かつてはリピーターが多かった京都だが、一回来たら十分だと思われる。事業者の求めに応じ、条例に適合していれば、全て許可をおろすというのが仕事ではない。審議会を開催する、住民の声をしっかり聴く。課の名称は風致保全課だ。こうした事態を重く受け止めることを求める。
→山本部長 竹林は、適切な管理をすると、鬱蒼とした竹林ではなくある程度すいてくるのが竹林の風景だと思っている。散策路についても、観光客に大変喜んでいただいている。普段なら入れない竹林に入れる唯一の場所。沢山の方が写真を撮られ、あの場所を目当てに沢山来られる。落書きとは全く別の問題。
山田 京都のホンマの良さがどんどん失われているのが現状だ。鬱蒼とした竹林でなく、あのような無残な竹林が喜ばれていると思っていることが大きな問題だと指摘しておく。
(更新日:2018年05月29日)
過労死が大きな社会問題となっています。
今年に入っても、IT関連企業で働く28歳の労働者が、裁量労働制の下、長時間労働の結果、くも膜下出血で死亡するなど、過労死が後を絶ちません。
京都市職員の中でも過労死が発生していました。時間外労働が年間720時間を超える京都市職員は29年度38人もいます。7カ月連続で100時間を超える時間外労働。月279時間の時間外労働を強いられている職員も。職員リストラで、業務量に応じた職員配置がされず、市民サービスが後退し、京都市職員の命も危険にさらしています。
時間でなく成果で評価。労働時間の規制をなくし、成果を上げるまで働かせ放題の、残業代ゼロ法案「高度プロフェショナル制度」は撤回を!
内部留保を活用し大幅賃上げで、8時間働けば普通に暮らせる社会を実現しよう!
(更新日:2018年05月24日)