活動日誌

9月市会本会議で、中小企業振興条例制定などを求め代表質問に立ちました。

 右京区選出の山田こうじです。日本共産党京都市会議員団を代表して質問します。

 (中小企業振興基本条例の早期制定を)
 私は、民主商工会事務局員として、中小業者を支援し、中小業者の社会的・経済的地位向上をめざし右京区で30年余り働いてきました。
 中小企業はマイナス金利、異次元の金融緩和、円高などアベノミクスの失敗と、大企業のさらなるコスト削減で下請け単価の切り下げ、休廃業に追い込まれる等、中小企業は景気回復どころか、厳しい現状です。倒産とともに休廃業は高止まりしています。2015年の倒産件数8,812件に対し休廃業は26,699件と、倒産件数の3倍にも及びます。
 京都市が発表した中小企業経営動向実態調査結果によると、2016年4~6月期の企業景気指数は前期比0.8ポイント低下し、景気が悪いと答えた事業者が良いと答えた事業者より7ポイント多かったと報告されています。
 そこで、今こそ中小企業振興条例の制定が必要だと考えています。
 今年、経済総務委員会で調査した墨田区では、昭和52年から2年間かけて、係長以上の職員200人で悉皆調査を行い「中小企業振興基本条例」を制定し、中小企業支援を行っています。この調査を通じて、職員の意識が大きく変わり、業者からも行政に対する信頼が生まれているとのことです。
 条例制定で、「産業振興会議」が設置され、後継者や若手経営者部会も設置されています。
 昭和61年には区直営の「中小企業センター」が開設され、専門の16人の技術相談員が技術指導や新製品開発の相談なども行っています。製造業調査に基づく企業台帳も整備され、相談の都度、更新され、この台帳を基に区の職員が販路開拓等、製造業者支援を行っています。
 墨田区でこのような取り組みが可能になっているのは、経済情勢の変化に対応し、担当部局だけでなく全庁あげて、中小企業支援を行うという姿勢を明確にしているからです。
 横浜市でも、横浜市中小企業振興基本条例で「横浜市中小企業振興推進会議」「同幹事会」が年5回から10回開催され、区役所も含め中小企業振興を全庁的に取り組んでいます。愛知県では、「愛知県中小企業振興条例」で、中小企業に対する無理解を反省し、規模の小さい企業こそ支援が必要だと報告されていました。
 京都市では中小企業振興を検討・推進していくことを目的に業種別団体の青年部役員や、異業種交流に取り組む若手経営者、金融機関等で「京都市中小企業未来力会議」が創設されました。成長企業への支援も大切ですが、困難をかかえる中小企業への支援こそ求められます。5月市会では「必要な場合は条例による手法も検討していく」との答弁がありましたが、他都市の事例に学ぶのであれば、中小企業振興基本条例の制定を急ぐべきではないでしょうか。どのような検討がされているのでしょうか。お答えください。

(岡田副市長)本市では、中小企業を下支えする中小企業融資制度はもとより、京都商工会議所等と一体的に市内5カ所の相談窓口において、年間24000件を超える経営相談や、中小企業診断士などの専門家の派遣を行うなど、中小企業への支援を行っている。
 本年8月には、中堅・若手の中小企業経営者を中心メンバーとして業種横断的に議論し、実効性ある中小企業振興策を検討・推進していく「京都市中小企業未来力会議」を創設した。精力的に議論・検討を進めており、必要な場合には、条例による手法等も検討していく。

(商店街の振興をはかれ)
 次に、商店街振興について質問します。
 「京都市商店街の振興に関する条例」の目的には、「商店街が地域のにぎわいの創設に果たす役割の重要性にかんがみ、…商店街の振興を総合的に推進しなければならない」とあります。 
 右京区の西院地域や近接する中京区には、かつて多くの友禅工場や、島津製作所などの下請け工場があり、そこで働く職人さんの消費生活を、商店街が支えてきました。
 そのひとつに「西新道錦会商店街」があります。
 戦後の混乱期がやや収まりかけた昭和27年、西の「錦市場」をめざし、名前も「西新道錦会」として約30名で結成された商店街です。
 1990年ピーク時には約200店舗の商店街でしたが、その後、地場産業である京友禅の衰退に加え、製造業の海外移転、大型店の出店、消費税増税等で、売り上げが落ち込み最盛期の3分の1の70店舗余りとなっています。
 商店街振興組合では、「消費者の意識と買い物行動に関するアンケート調査」など行い、「消費者からみた商店街の魅力と問題点」を検討して、「地域の文化、住民と結びついた商店街事業の展開を」と、地域に貢献する商店街として努力を重ね、エプロンカードというICカードの導入等ハイテクの先駆けとしても、全国的にも有名な商店街です。
 こうした努力にもかかわらず、エプロンカード事業のカード入金は、2000年3億円が、2005年には1億7500万と6割近くに減少し、その後、2015年には6100万円、何と2000年の20%台へと大きく落ち込んでいます。今では商店街は空き店舗が目立つ深刻な事態となっています。
 西新道錦会商店街の周辺には、ライフの出店に続いてマツモト、阪急オアシスなどのスーパーが次々と出店し、大きく売り上げが落ち込みました。
 1998年大店法が廃止、まちづくり三法が制定され、その後2000年には京都市商業集積ガイドプランが制定されました。商業集積ガイドプランでは京都市内を7つのゾーンに分け、広域型商業集積ゾーン、地域型商業集積ゾーンは無制限に大型店の出店が可能となり、職住共存ゾーンや生活環境保全・共存ゾーンでも1000平米、幹線道路に面していれば3000平米まで出店可能となり、その結果「商業集積ガイドプラン」制定後、51店舗もの大型店が出店しています。
 経済センサス活動調査によると、京都の商業(卸売り・小売)の商店数は、2002年24,699店舗あったものが2012年には13,866店舗に、10年間で44%、10,833店舗もの店が消えてなくなっています。今年の6月にも、嵐山東学区唯一の商業施設のライブ嵐山が廃業に追い込まれて、高齢者が数キロも離れた商業施設へ行かなければ買い物ができない、いわゆる「買い物難民」となっています。
 これまで京都市は「商業集積ガイドプランで、地域にふさわしい集積をはかってきた」と答弁されてきましたが、これで本当にふさわしい集積といえるのでしょうか。認識を伺います。事実上、大型店誘致の制度となっている、商業集積ガイドプランは廃止し、商業調整機能を有する規制を行うべきだと考えます。いかがでしょうか。

(産業戦略監)本市では、大型店の店舗規模や営業時間などを規制することを禁じた大規模小売店舗立地法の施行に伴い、全国に先駆けて「商業集積ガイドプラン」を策定し、地域特性に応じて、商業施設の適正な配置を図ってきた。無秩序な商業開発の抑制に大きな効果を上げている。今後も引き続き、ガイドプランを適正に運用し、商店街の賑わい創出を支援し、京都らしい魅力ある商業集積をすすめていく。

 (区役所に中小企業振興の窓口の設置を)
 地域の中小企業や商店街の課題は、地域ごと行政区ごとに異なります。商店街の役員さんは「区役所の方にぜひ、私たちの声を聞いてほしい」と言われています。中小企業振興条例を制定している横浜市では、区役所に担当者を配置し商店街の支援などが行われています。区役所に専門の職員を配置すれば、中小企業・商店街振興の地域ごとの課題も見え、具体的支援が可能になるのではありませんか。区役所に「中小企業振興の窓口の設置」を求めます。

(産業政策監) 京都商工会議所等とともに、市内5カ所の相談窓口に57名の経営支援員を配置し、ワンストップで応える経営相談を行っている。今後もこれらの相談窓口において丁寧に行っていく。

(商店リフォーム助成制度の創設を)
 次に、商店街振興の具体化について伺います。
 商店版リニューアル制度が全国に広がっています。全国商工団体連合会調べによると今年の1月17日現在、23都道府県61自治体で、店舗や工場のリニューアル助成が創設されています。
 2013年4月に高崎市で創設された「まちなか商店リニューアル助成事業」は「店舗の改装」や「店舗などで使用する備品の購入」に対し、100万円を上限に2分の1を助成するものです。
 高崎市の職員が直接店舗を訪問、経営課題について聞き取り調査を実施し、浮かび上がったのが「店舗の老朽化」、「リニューアルのための資金難」、「後継者難」が明らかとなりました。空き店舗が並ぶ商店街、魅力的な店舗が少ないためにイベントなどで集客しても、商店街を素通りして帰ってしまう現状でした。「高崎の『まちなか』を面白く、活気にあふれたものにしたい。そのためには小さな店が元気になることです」と始めたのがリニューアル事業です。
 「気持ちも店も地域も明るくなる。こんな施策は初めてだね」と、制度受付初日だけで108件の申し込みがあり、受付2週間で1億円の予算を突破し、2回の追加補正が行われ730件の申請で4億円と歓迎されています。市内業者の利用を条件にしたリフォーム事業は2年間で申請件数が2300件を超え、工事総額は約18億円になり、市内循環で地域も潤う効果は抜群です。商店街、中小企業が、地域経済で大きな役割を果たしている京都市でこそ、抜群の効果が明らかになっている商店リフォーム助成制度を創設するよう求めます。

(産業戦略監)商店街による空き店舗の活用や事業者による市内産木材を活用した店舗の増改築など、政策上の必要に応じ、その費用の一部を助成している。

(住宅リフォーム助成制度の制定を) 
 あわせて、京都経済の活性化、中小企業支援の具体策として、「住宅リフォーム助成制度」について伺います。
 住宅リフォーム助成制度は600を超える自治体で実施されています。助成制度があるから「リフォーム工事を速めた」「工事を増やした」という需要喚起も促します。 
 地域によって違いはありますが、助成額の15倍以上の投資がなされ、住宅をリフォームしたことをきっかけに家具や電化製品などの経済波及効果もさらに2倍前後になるといいます。しかも、仕事は地元小規模建設業者が受注することになり、地域経済の活性化に繋がります。 
 京都市では、住宅の耐震化助成・省エネ化助成制度があります。これまで政策上の重要度・緊急度を明確にし、優先的に取り組んでいるとの答弁でしたが、不況打開や地域経済活性化は重要度・緊急度のある政策ではないでしょうか。本市でも、平成25年の2月市会では「住宅リフォーム助成制度について、一定の経済効果を持つことは認識している」と答弁されています。改めて住宅リフォーム助成制度の制定を求めます。いかかですか。
(都市計画局長)平成24年度からの「まちの匠の知恵を活かした京都型耐震リフォーム支援事業」で2665件、平成26年度からの「既存住宅省エネリフォーム支援事業」で1313件、市内事業者が工事を行うことを要件としており、110億円を超える経済効果を市内で生み出している。
 今後も、一般的な住宅リフォーム助成制度よりも、安心・安全の確保や低炭素社会の構築など、政策上の重要度・緊急度が高いものを、優先的かつ重点的に取り組んでいく。

(中小零細企業への固定費助成制度の創設を)
 次に、中小企業への固定費助成について伺います。
 本市の企業立地促進助成制度は、市内で施設を整備する際に、固定資産税分を補助する制度で、助成額の66.3%が資本金1億円以上の企業となっています。こうした企業は十分に体力がある企業と言えます。
 今求められているのは、体力のある企業の支援ではなく地域社会を支え、京都経済の根幹でありながら資産も資金も持たない中小零細企業への支援です。家計消費が落ち込む中、中小零細企業の事業の継続が困難になる事態が発生しています。収入が激減しても店舗や工場の家賃や機械設備のリース代などの固定費は発生します。従業員の雇用も守らなければなりません。固定費助成で中小零細企業への支援を行うことで、廃業を免れる事業者も出てくることになり、雇用と地域経済を守ることができます。営業の継続が見込める中小零細企業の廃業を未然に防ぐためにも、中小零細企業への固定費助成制度の創設を求めます。いかがですか。

(産業戦略監)人件費や家賃など、製造・販売数の増減に関係なく、毎期一定額の支払いが必要となる固定費は、本来、事業者自らが負担すべきもの。製造業等の市内立地の推進、研究開発等の促進など下支えと成長支援の両面から、中小企業支援に取り組んでいく。

(公契約基本条例に賃金条項の設定を)
 次に、公契約基本条例にについて伺います。
 「京都市公契約基本条例」が昨年11月11日から施行されました。本市の条例には賃金条項が定められていませんが、わが党は賃金条項の必要性を主張してきました。
 条例は、制定すればそれで終わりではありません。世田谷区の条例では、制定当時賃金条項は含まれていませんでしたが、「労働報酬専門部会」を置き検討する中で、賃金の下限額を設定することになりました。相模原市でも相模原市労働報酬等審議会の意見を聞いて、労働報酬下限額は毎年定めるとし、労働状況台帳で全労働者の報酬額の報告を求めています。
 賃金規定を設ける事は、労働者の適正な賃金を確保することはもちろん、市内中小企業への発注を促す点でも、重層下請けの改善にも有効です。
 本市は、賃金条項を導入しない理由として、多くの団体から反対意見が多かった、公契約に従事する一部の賃金だけが引き上がる不公平感、中小企業の負担が過度になるとの認識を示しています。
 こうした懸念は、杞憂に過ぎないことを先行事例が証明しています。
 平成23年に制定された多摩市では、工事請負契約について賃金規定は「設計労務単価の90%」と規定しています。実施状況アンケートでは「職人の継続雇用が進み、事業の専門性や継続性がはかられた」「職人のモチベーション維持が、結果的に利用者サービス向上につながる」「業界全体でみれば、今までのたたき合いの見積もり合わせや入札の在り方を変えるこの制度は、人を人として公平、平等に扱える制度となると思う」「適正な賃金確保につながっていると思われ、今後、労働者の生活の安定に結びつくと考える」など肯定的意見が寄せられています。こうした先行事例からも学ぶべきです。
 京都市条例の「労働関係法令遵守状況報告書」は、賃金について「最低賃金法に定める賃金以上の金額を労働者に支払っていますか」との設問があるだけです。最も低い賃金単価の報告を求めるものにすぎません。これでは、最低賃金法違反がないかの確認にはなりますが、適正な賃金を保障できているか検証できない条例となっているのではありませんか。
 昨年11月、生活関連公共事業推進連絡会が実施した、京都市の公共工事現場での労働者への聞き取り調査に参加しました。調査当時は公共工事設計労務単価が3年連続で引き上げられていたにもかかわらず、現場労働者の賃金はほとんど上がっていませんでした。設計労務単価の6割程度しか支払われていないという実態です。だからこそ、賃金条項を定めることが必要です。
 公契約の現場で働く労働者の賃金実態をつかみ、賃金条項を設けることを求めます。いかがですか。
 安倍政権が、臨時国会で批准を強行しようとするTPP協定は、多国籍企業がグローバルに儲けるシステムを拡大するために、国内産業や雇用を犠牲にしても構わないというものです、広く国民諸階層に不安が広がっています。TPP協定の批准はやめるべきことを述べておきます。

(小笠原副市長)労働関係法令全般にわたる遵守状況の報告を本年6月から義務付けているが、労働者ごとの賃金を把握するものではない。しかし、公共工事に従事する建設労働者の賃金実態については、国が実態調査を実施している。京都府下の平均賃金は、4年連続で上昇している。
 賃金条項については、実効性あるいは合理性の点で課題が多く、中小企業等からも反対意見が多く導入しなかった。ダンピング対策等を徹底してすすめ、適正価格での受注を図り、労働者の適正な賃金水準の確保に努めていく。

(市民生活との調和を最優先にした観光政策を)
 次に、宿泊施設の拡充・誘致方針(素案)について伺います。
 そもそも、観光政策は「住んでよし、訪れてよしの国づくり」の視点に立つ必要があります。2010年の「未来・京都観光振興計画2010+5」では京都観光が目指す姿として、「量の確保」とあわせて「質の向上」を目指すとしていました。ところが、東京オリンピック招致決定を転機として、外国人観光客を大量に呼び込む方針に変更されました。
 8/31付け京都新聞は、「外国人増『混雑しすぎ』、京の観光『満足低下』」と報じました。この状況のまま、ホテル誘致を進めれば矛盾が一層拡大されることが懸念されます。
 住んでいる京都市民と観光客との調和・住環境はどう守られるのか。市内中心部の観光地の大混雑や交通渋滞はどう改善されるのか。2020年外国人宿泊観光客440万人の根拠は何か、過大なものではないのか。さらに、宿泊施設を誘致したものの東京オリンピック後は宿泊観光客が減少するのではないか、考えますが答弁を求めます。
 ホテルが増える一方で、旅館の休・廃業が続いています。「京都市旅館稼働実態調査」では、296施設のうち104施設が休・廃業状態という結果となっています。
 和食、畳や床の間、和服でのおもてなしなど、日本の文化・京都の文化を発信する旅館は、外国人にも日本人にも求められています。既存の旅館への支援こそ必要です。どのような支援を行おうとしているのか。答弁を求めます。

(岡田副市長)宿泊施設の拡充・誘致は、地域や市民生活との調和を図ることを基本的な考えの第一の柱として推進していく。
 市内中心部の観光地の混雑緩和に向け、山間部や周辺部等、多様なエリアに良質な宿泊施設を誘致し、賑わいを市内全域に広げていく。
 国の訪日外国人旅行者数の目標は、2020年には2015年の2倍の4千万人、本市は630万人となるが、今後は三大都市圏以外への訪問比率が高まる想定で440万人と見込んだ。
 世界観光機関による長期予測では、訪日観光客数は、2020年以降も増加するとされている。
 昨年の市内の旅館の稼働率は、全国平均の約2倍となる70%。旅館の魅力を活かした旅行プランの開発促進、語学研修、施設の改修や担い手の育成など、魅力の発信や利用促進に向け、一層の支援に取り組んでいく。

(市民の安全・安心に向けたルールづくりで「民泊」の規制を)
 次に、民泊について質問します。
 9月1日に、日本共産党京都市会議員団は、国会議員団とともに京都府旅館ホテル生活衛生同業組合のみなさんと懇談しました。
 懇談では、宿泊業関係4団体が、「民泊の不正防止について」という共通要望書を提出したことが紹介されました。違法民泊営業は、営業日の不正を把握できず、課税もできず、罰則が軽く”もぐり営業”などと指摘し、厳しく規制してほしいとおっしゃっていました。
 急増する民泊について「深夜にキャリーバックの音や大声で話すなど迷惑」「集合住宅での民泊営業は不安」「経営者が不明でトラブル発生時の対応ができない」、ゴミ捨てやたばこのポイ捨て等、深刻な苦情が寄せられています。
 京都市が行った、民泊実態調査では、民泊紹介サイトに載っている2702件の内、所在を特定できた施設は1,260件と半数未満で、旅館業法許可施設は僅か189件、7%にしかすぎず、ほとんどが違法営業という実態が明らかとなりました。その後も、民泊は増え続けています。
 京都市が設置した「民泊通報・相談窓口」には7月13日から8月末までに、市民からの苦情や相談など、349件の通報がありました。しかし、この市民からの通報に対して、対応する保健センターの職員が増員されていないため、具体的な解決に至らず対応の遅れが顕著になっています。さらに「相談窓口」では、民泊開業のための相談も受け付け、更なる誘致を図るという問題も含まれます。
 京都市に求められているのは、市民の声にこたえるために、現場の体制を強化すること、職員が現地に出かけ実態を正確につかみ、旅館業法に基づく指導を強化することです。各行政区の保健センターを全市で1ヵ所に集約化する方針を提案していますが、この事で民泊の指導業務も全市で1ヵ所に集約されることになれば、対応が後退することは明らかです。
 観光は、市民の理解があってのことです。この状況では、観光客を笑顔で迎えることができなくなります。「おもてなしが地に落ちていく」との声も聞かれます。
 国は民泊新法を検討していますが、許可制から届け出制への変更や、住居専用地域の合法化など、規制緩和の方向です。
 規制緩和ではなく、旅館業法を守り、市民生活との調和を最優先にした、民泊規制の条例等を含め、京都市独自のルールをつくるべきです。いかがですか。

(市長)市内にある全ての宿泊施設は、旅館業法をはじめとする関係法令の遵守と周辺住民の生活環境との調和が大前提である。周辺住民に対する事前説明や適正な施設運営の徹底などを柱とした新たなルールを定めた指導要綱を策定する予定。国の「民泊」新法の制定について、地域の実情に応じた運用が可能な法制度となるよう要望を行っている。

(国民健康保険限度額認定書は無条件に交付すべき)
 国民健康保険の限度額認定証交付について伺います。
 平成19年4月1日施行の「京都市国民健康保険高額療養費現物給付に係る『特別な事情がある場合』に関する運用要項」では「特別な事情」すなわち「世帯主又はそのものと生計を一にする親族が病気にかかり、また負傷したこと」という事情があれば限度額認定証を交付することができるとしています。
 一人暮らしで自営業のA氏は、営業不振で店を休業し、運送関係の仕事についておられました。深夜に及ぶ仕事で、不規則な生活から、糖尿病を患って治療が必要でしたが、治療に踏み切れず、重症となり大学病院に緊急入院となりました。退院時に病院から「限度額適用認定証を受ければ、非課税であれば、35400円です」と指導を受け、限度額認定証を求めたところ、国保料16万円の滞納があったため「滞納保険額半分以上の納付と、残りの滞納分は年度内納付を」と迫られ、「5万円を納入」する意思を示されましたが受け入れてもらえず、限度額認定証が交付されませんでした。未納の入院費があり、その後必要であった膵臓の検査もできないことになったそうです。
 誰もが、いつ、どこにいても必要な医療を受ける権利を保障する、国民皆保険の根幹をなすのが国民健康保険制度です。滞納納付を条件に、医療が制限される事態は看過できません。
 特別な事情を認めた場合でも、納付計画とその履行を条件としていることも問題です。無条件交付に改善すべきと考えます。答弁を求めます。
 そもそも、高すぎる国民健康保険料が問題です。年所得300万円の4人家族の国民健康保険料はなんと463,576円です。夫婦が40歳以上であれば介護保険の負担が上乗せされ、554,177円となります。これでは、払いたくても払えないのが実態です。払うことができる国民健康保険料に引き下げるよう求めます。

(保健福祉局長)限度額認定証は、法令上、特例の事情があると認められる場合や保険者が適当と認める場合を除いて、保険料の滞納がある方には、交付できないとされており、無条件の交付は考えていない。交付に当たって一定の滞納保険料の納付や納付計画の提出を求めることは、負担の公平性の観点からも必要なものである。
 今年度169億円もの一般会計繰入金の確保等により、制度創設以来初めて全ての保険料率を引き下げた平成27年度と同じ保険料率に据え置き、最大限の負担軽減を図っている。更なる引下げは、平成27年度決算で2億円の累積赤字があり困難である。

(後期高齢者医療制度 保険料「特例軽減」措置の廃止をやめよ)
 次に、後期高齢者医療保険制度について伺います。国は、平成29年度から現在の保険料の「特例軽減」措置を廃止するとしています。この「特例軽減措置」は、制度導入時、被扶養者や低所得者の保険料負担が急激に増加することに、国民の強い反発があり予算措置されたものです。廃止されれば、延べ約10万人の市民の保険料が2倍から10倍に引きあがることになります。市長は国に対して特例軽減措置の廃止を中止するよう求めるべきです。いかがですか、お答えください。
 また、京都市は27年度で40件の短期証を発行し、22件の保険料滞納者の資産を差し押さえていますが、とんでもありません。後期高齢者が医療を受けられない実態があってはなりません。短期証の発行を止めること、資産の差し押さえを止めることを求めますが、いかがですか。

(保健福祉局長)後期高齢者医療制度において、現在、特例措置として、保険料の9割を軽減する等の措置が実施されている。過重となっている現役世代の負担を軽減する観点などから、平成29年度から法令通りの、7割の軽減に戻す見直しを行う。その場合に急激に負担が増える方への軽減措置について、国で検討が進められている。本市としても、高齢者の負担が過重とならないよう、他都市とも連携し国に求めている。
 短期証の交付や差押えは、法令等に基づき、特別な理由がないまま滞納している方に対しては、負担の公平性の観点から当然必要である。

(七条通(西小路~葛野大路)の早期拡幅整備を)
 最後に、七条通りの整備について質問します。七条通りの葛野大路から西小路通り一本西は、西京極学区の中ほどを東西に通る生活道路です。通学路でもあり、路線バスも行きかう交通量も多い通りですが、道幅が狭く危険です。離合ができず渋滞になる、軒先にぶつかる等の事故も発生しています。
 長年にわたり「住みよい西京極をつくる会」では、安心して歩ける七条通りをと、署名や地域での懇談会、アンケートに取り組んでこられました。
 昨年12月に取り組まれたアンケートは、地域に6600枚が配布され、549通の回答がありました。結果、8割の方が「早期に拡幅」との回答でした。住民合意のもと、早期に拡幅工事等の改善策を強く求めます。以上で質問を終わります。

(建設局長)当該箇所は本年3月の市会において、全会一致で拡幅整備及び当面の安全対策の請願が採択された。将来的には整備が必要であると認識しているが、本市の厳しい財政状況や国交付金の配分が少ないことから、拡幅整備の実現までには相当の期間を要する。当面、路肩の白線の補修等による安全の確保を図っていく。

(更新日:2016年10月01日)

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