インボイス制度の実施延期を求める請願

6月5日の総務消防委員会で、インボイス制度の実施延期を求める請願の審査がおこな合われました。

請願者から請願の趣旨説明を要望されていることに対し、自民・維京国・公の会派は紹介議員からの趣旨説明でよいと態度。
日本共産党の加藤委員は、請願権は憲法に保障された国民の権利。請願を提出されたご本人が主権者だ。請願者の意見を聞くのは議会として当然の責任。請願者の趣旨説明は認めるべきと主張したが、認められず赤阪委員が趣旨説明を行った。

○赤阪委員 京商連久保田会長の趣旨説明代読。コロナ禍が暮らしと営業の危機的状況を深刻化させてきました。そこにウクライナ侵攻に起因するサプライチェーンの混乱や円安の影響で、燃料や資材などの価格高騰、納品遅れに加え、食品や生活必需品の大幅な値上がりが追い打ちをかけています。
こうした影響を受け、地域経済の中心を担う中小・小規模事業者は存続の危機に瀕しており、物価高騰対策など支援が求められています。10月からのインボイス実施は、事務負担の増加を強いるとともに、免税事業者が取引から排除される恐れがあります。このままではインボイス導入を機に、個人事業主や農業従事者、フリーランス、文化事業者などを廃業の危機に追い込み、」更なる地域経済の衰退につながることは必至です。とりわけ京都市は、伝統産業など97%が小規模事業者であり、新たな財負担に耐えられず、インボイス制度の実施を機に廃業に向かうことが危惧されます。
インボイスに関し、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国青年税理士連盟など多くの団体が、現状のまま実施に踏み切ることに懸念の声を上げています。今年10月からインボイス制度を導入するということは、過酷な経済状況の最中に消費税の増税を行うことです。私たちは、住民の暮らし・地域経済・地方行政にも深刻な打撃となるインボイス制度導入の延期を強く求めます。以上の趣旨から、京都市会として、10月1日から導入されるインボイス制度の実施延期を求める意見書を、地方自治法第99条の規定により、政府に提出してい炊けますようよろしくお願いします。
2023年6月5日 請願者代表 京商連会長 久保田憲一
以上です。

請願についての意見を私、山田こうじが次のように述べました。
○請願では、コロナ禍に加え物価高騰が営業を圧迫している。政府はインボイス制度の実施により現在の免税事業者161万社が新たに課税事業者になり2480億円の増税が押し付けられることになるとしている。1社平均154千円の新たな税負担を強いることとなる。物価高倒産が前年の3.4倍に上っている今インボイスの実施は、零細事業者にとっては死活問題。廃業せざるを得ない事業者が多数発生することとなりかねない。地域経済に大打撃となり、一層の消費不況にならざるを得ない。
 5月29日付全国商工新聞には、日本で最も愛される絵本「いない いない ばあ」をはじめ、紙芝居など出版している「童心社」の社長さんが登場されている。
 取引先の8割が免税事業者と推察。「一緒に仕事をしている作家さんやデザイナーさんの顔がちらつくわけですよ。すると『消費税お願いします』『だめなら原稿料から引きます』とはとても言えない。その人の作品や原稿、デザインが欲しくて仕事をお願いしているので、『登録事業者』で代わりを探せばいいという話ではないわけですよ」と仰っている。
 「出版業界では著者や制作に携わるフリーランス等が免税事業者であっても『インボイス』の発行をお願いせざるを得なくなり、出版に携わる人々の関係を悪化させたり、免罪事業者である人々を取引から排除されたりすることが起こりかねず、出版活動に支障をきたす懸念が大きい」と強調し「インボイス制度の導入に対しては反対であることを表明いたします」「免税事業者の方に『番号登録』をお願いすることは致しません。その場合も従来通りのお取引条件の継続を基本とさせていただきます」と取引先500社に送付。
 「作家さん、フリーランスが主な取引先である出版社は大変なことになる。大切に育んできた絵本や紙芝居つくりの未来を閉ざさないでほしい」とも。消費税分の負担は数千万円になるとインボイス制度は絶対反対と仰ってる。
 「インボイス制度を考えるフリーランスの会」(STOP!インボイス)や声優らの有志「VOICTION」は「インボイス制度は事業者間の取引慣行を壊し、免税点制度を実質的に廃止するもの」「免税事業者は取引から排除される可能性がある」等指摘し、インボイス制度の延期・見直しを求めている。
 適正な課税を行う上でインボイスが必要だとされているが、煩雑な実務が求められる。そのためインボイス導入で新たに課税業者となり申告する場合も、インボイスを使い実額計算で消費税申告するのではなく、みな仕入れ率を使った簡易課税を選択すると答えた方も多いのが実態で、零細事業者にとってはインボイス発行の意味がないと思う。
 インボイスを登録した事業者のインボイスの登録の取り下げが増加している。「制度の中身が知られるにつれ、『インボイスは嫌だ』と取り下げ件数が増えているのではないか」とも。昨年5月以降取り下げ・失効件数は5000件に迫る。
 立場の違う各種体から、インボイス実施延期を要請されている。各党、各会派がこの請願に対し請願者のおもいをどう受け止めるのかの意見表明を求める。
 他会派からの意見表明を求めたが、意見表明はありませんでした。

その後請願についての取り扱いについて各会派が態度を表明しました。

私は、所管局なしでの審議。京都経済にも影響があり、税の問題でもある。産業観光局、行財政局の理事者出席の上で継続審を求まましたが、自民党、維京国、公明党は5月市会で意見書が否決されていると不採択と市、継続審査を求めたのは共産党委員の3人のみで請願は不採択となりました。

(更新日:2023年06月15日)