施行前から、京都市においてもマイナンバーが符番された住民票が発行される等トラブルが続いています。
昨年5月に日本年金機構の125万件の情報漏えいが発覚し、情報漏えいの問題の指摘を繰り返してきましたが「特定個人情報保護評価」を行い、セキュリティーは万全と答弁を繰り返していた京都市。
ところがその後、昨年12月に、国から各自治体に対し、情報セキュリティー対策の抜本的強化に取り組むように要請があり、167,000千円の補正予算が組まれました。
万全なセキュリティーは不可能です。今後もさらなる税金投入にならざるを得ません。
G8(アメリカ・カナダ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・日本・ロシア)で、全員強制・生涯不変・官民共通利用の制度として導入している国はありません。税や社会保障などの個人情報を一括管理する必要性はあるのでしょうか。マイナンバー制度を望む国民の声はあるのでしょうか。
米国では1936年、社会保障局が発行する社会保障番号(SSN)が複数の分野で用いられ事実上の個人番号として活用されています。90年代後半以降パソコンが普及し、SSNを使った、不法入国や、年金も不正受給、ID詐欺など、なりすまし詐欺が多発し、06年から08年の3年間で1170万件、被害額は1兆7300億円発生して大きな社会問題になっています。米国連邦政府は、なりすまし対策を行い、大統領令で身元詐称タスクフォースが構成され、政府機関ではできるだけSSNを利用しないようにシステムを更新するなど対策を行っています。SSNを認証に使用することを禁止する法律を制定する州もあるります。
行政を効率化し、国民の利便性を高め、公正、公平な社会を実現する社会基盤だといいますが、マネーゲームなど、投機資金などの巨額な株取引などの実態把握に役立ちません。マイナンバーを導入しても、全ての取引や所得を把握し、不正申告をなくすことは現実問題として不可能です。事業所得や資産の海外シフトまで、すべてそもそも把握することはできません。
所得や他の行政サービスの需給状況を把握することによって、結果として住民サービスのいっそうの切捨てと負担増につながりかねないと危惧がひろがっています。結局、ダブルワーク、トリプルワークと過酷な働き方を強いられている貧困層の所得を補足し、生活費に食い込む課税最低限のもとで課税の強化と給付切捨てを行うことになり、一層の貧困拡大となりかねないとの懸念します。
税や年金、雇用保険など行政手続きで添付書類が省略できるなどなど利便性があるとのことですが、日常的にはほとんど関係ないのではないでしょうか。行政サービスの利便性向上というのであれば、マイナンバーの導入をしなくても、行政間の運用の改善で可能です。申請書類に12桁のナンバー記入など申請者の負担も、受理する側の負担も大変です。
すでに1月から各種申請などに番号符番が義務付けられています。現に「マイナンバー詐欺」など多数発生し被害が出ています。非常に広範にマイナンバーが活用され、民間や介護事業所や福祉施設など、現場では多くの方がマイナンバーを扱うことになり、実務的負担やセキュリティー対策等多額の費用がかかり、情報漏えいでは最高4年以下の懲役や2,000千円以下の罰金が科せられるなど、現場では不安がひろがっています。番号記載のない申請も不利益な扱いはない事。このことを徹底することはもちろん、符番されない方の意思は、番号活用による情報漏えいを危惧してのこと。この意思を尊重することが必要です。いったん立ち止まり、今からでも中止すべきではないでしょうか。
(更新日:2016年03月20日)