「安倍政権登場の早い時期から『富国強兵』をめざすと確信した」と話し始めた浜氏。今年4月の米議会演説を行ったその日の午後、笹川平和財団アメリカ支部での講演で「アベノミクスと私の外交政策は表裏一体」と語った事は大問題と指摘。
そもそも、アベノミクスは経済政策とは言えない代物。経済政策の目的を外交安全保障と一体と位置づけることは、経済発展を国民の暮らしのためではなく「デフレ脱却できれば、国防費を増やせる」とイケシャーシャーと言い放つ。安倍政治の本質を表したものと批判。
本来の経済政策の意義は①均衡回復と②弱者救済野二つだと指摘。バランスが崩れ、ハイパーインフレ、ハイパーデフレで傷つくのは弱者だ。まさに「富国強兵」が経済政策の目的。
新3本の矢で、GDP2割増の600兆円にし、国防費を増やす。そのために、1億総活躍社会で、高齢者も「生涯現役」さらに『産めよ増やせよ」の号令は、「富国強兵」まっしぐら。彼らの焦りの表れだと喝破。
さらに、環太平洋パトナーシップはTPPではなく、TYP(とっても、やばいパートナーシップ)だとし、アメリカ議会での安倍演説「TPPの経済効果には、戦略的価値がある」と述べた事の本質を明らかに。
戦前、通商協定が、植民地侵略の経済戦略となった。この苦い経験から、戦後、通商協定は2度と用いないと誓った。戦後の経済秩序は、自由・無差別・互恵が三大原則。この戦後の原点を忘れ、この原則に反するTPPは「とってもやばい」。
「TPPの戦略的価値はすげぇ」と言ってのける感覚。「TPPは日米同盟にとって戦略的価値は大きい」との発言は歴史の反省を知らない無知なる者の大問題発言。農業や医療その他、個別の問題も大切だが、その外枠にあるものを見る必要があると指摘。
そして最後に、アホノミクスの向こう側に行くには条件は3つの出会いが必要だと提起。その土台は憲法だと話がすすみます。
一つは、「多様性と包摂性の出会い」。今の社会は、豊かさの中に貧困があり、著しくバランスを欠いた経済だと指摘。排他性と均一性の論理がまかり通り、多様な価値を認めない社会が「富国強兵」に向かう。
二つは、「正義と平和の出会い」。旧約聖書の詩編に「いつくしみと、まことはめぐりあう」「正義と平和は抱きあう」とある。しかし、これが難しいと、いつくしみとまことはすれ違い、正義と平和はいがみ合う。ある人の正義と、他の人の正義はぶつかり合い戦争となる。
三つは、「狼と子羊の出会い」。大きく強いものと、小さくて弱いものがともに宿る。グローバル時代を生きるとは、自己責任の「おひとりさま」と思いがちだが、そうではない。グローバル時代は一人では生きていけないと、東日本大震災で、小さな自動車部品工場が被災し生産が止まった時何が起こったか。世界中で自動車生産が止まった。
この三つの出会いがあれば、間違いなくアホノミクスの向こう側へ、みんなで行ける。この土台が憲法。憲法前文では「日本国民は…諸国民との協和」をめざすと言っている。
いろいろ考えさせられた、講演でした。内容は私の感想です。
(更新日:2015年11月29日)