原水爆禁止世界大会報告パート3

■国際会議セッションⅢ
○グエン・チー・ツェン(ベトナム平和委員会)
 原水爆禁止世界大会は、約70年にわたり「核兵器のない世界」を目指し、努力し、核不拡散条約(NPT)核兵器禁止条約(TPNW)など採択され核軍縮は大きく前進した。6月の核兵器禁止条約第1回締約国会議が開催され、実効ある履行、広範な核軍縮と核不拡散の枠組みを確立した。

 ASEAN諸国が6月に会合を開き、東南アジア非核兵器地帯条約行動計画の5年間の実施状況を再検討し、次の5年間に向けた準備を行った。ベトナムは核兵器禁止条約を最初に署名、批准した国として、すべての国、とりわけ核保有国に対し、核兵器禁止条約を支持、署名、批准するよう呼びかける。

 いま世界はかつてない困難に直面している。大国は国際法、領土保全や主権の尊重といった基本をないがしろにし敵対行動を激化させている。
 そのうえ気候変動、エネルギー、水、食糧といった安全保障にかかわる問題が複雑に絡み合い世界の平和と安全を脅かしている。こうした背景のもと、積み重ねてきた努力が失われかねない。

 いまこそ、国連憲章を含む国際法、とりわけ国家の独立、主権、領土保全の尊重、国家の内政不干渉、武力の行使や威嚇の禁止、平和的手段による紛争の解決の尊重と順守を堅持し要求する。

 地域協力によるASEANの中心的役割を支援し、原爆、水爆、枯葉剤、ダイオキシンの被害者と生存者の支援を強化し、被害者の訴え証言を世界中に広め、世代を超えて語り継ぐことにより、核兵器や大量破壊兵器がもたらす被害をより理解しよう。

○千坂純日本平和委員会事務局長
 岸田政権は核兵器禁止条約への署名・批准をかたくなに拒否する一方で、核兵器禁止条約締約国会議が開かれている最中の6月21.22日、米国ジョージア州キングスベイ戦略核原子力潜水艦基地において、日米拡大抑止協議を行った。
 共同声明で「核を含むあらゆる種類の能力によって売らずけられた…日本の防衛に対する米国のコミット面とを表明した」。つまりいざというときは核を使うと表明。世界の人々が真剣に核兵器の禁止・廃絶を議論する核兵器禁止条約締約国会議と同日に行う逆行ぶりに怒りを禁じえない。この道は、日本とアジアを核戦争に導く危険を極度に高める破滅の道。
 この道をストップさせよう。最近の世論調査では、非核3原則を堅持すべきは75%。核兵器禁止条約に参加すべきは7割。これは、被爆者を先頭に長年の原水爆禁止運動が作り出してきた、根深い平和の世論。この世論に依拠して大きな運動を!

■テーマ別集会
○非核・平和・外国軍基地のないアジア・太平洋と運動の役割
 ロシアのウクライナ侵略に乗じた軍拡がアジアでも。日本・アメリカ・オーストラリア・インインドの4ヵ国が参加するクワッド(QUAD)は中国を念頭に置いたアジア版NATOだと、最近の4ヵ国の合同軍事演習の活発化が、アジアの緊張を高めていることなどの報告があった。
 沖縄からも、宮古島の自衛隊基地に地対艦ミサイルが配備される等、南西諸島が中国をにらんだ軍事要塞化が進んでいるリアルな報告があった。沖縄が台湾有事に巻き込まれる危険が高まっている中、保守・革新を超えた「オール沖縄」で、「基地のない平和な沖縄」を目指す県知事選挙がますます重要だと訴え。軍事で平和は守れない。ASEANに学び、軍事同盟に対抗し他集団安全保障こそ。  

(更新日:2022年08月25日)