金沢市会議員団「宿泊税を考える」学習会

 昨日、日本共産党金沢市会議員団主催の「宿泊税を考える」学習会に、講師として加藤議員と参加してきました。
 市議会各会派と担当する市の管理者、金沢市の宿泊税を考える会、旅館業許可施設等にも案内され開催されたものです。

 金沢では、京都市の宿泊税がモデルにされたということで、要請を受け、お引き受けしました。

京都市では、「未来・京都観光振興計画2010+5」(2010年)策定し、5000万人観光客を達成し「観光スタイルの質」「観光都市としての質」を高めるとしていましたが、東京オリンピック招致決定を受け、「観光で稼げ」の号令のもと、行政のあらゆる面で規制を取り払い、ホテル誘致へと「宿泊施設拡充・誘致方針」が策定されました。

「ホテル誘致」や「にぎわいの創出」等で、京都の魅力を壊しながら「京都の魅力である歴史・文化を守り、創造し、発展させ未来に引き継ぐ」等を口実に「観光関連施策など新たな財源」が必要だと、「住みたい・訪れたいまちづくりに係る財源の在り方検討会」が設置されました。その中での議論を通じ、宿泊税が導入された経過や党議員団の取り組みと議会論戦について報告しました。

東京や大阪の事例と違い京都市では、違法民泊を含めすべての宿泊者から税を徴収することになった経過等について、質問が出されました。

この頃、京都では、違法民泊対策が大きな課題となっていた時期でもあり、旅館業界からは、宿泊税など新たに「旅行者に負担を求めることは断固反対」としつつ、「観光振興という目的に限って使うのであれば協力する」と表明したうえで、「免税点を設けると、違法民泊を野放しにすることになる」「まともに営業しているものから反発も大きい」と、免税点を設けない事。宿泊税を活用し「違法民泊の撲滅を!」と、求められていたことなど紹介しました。

しかしながら、パブリックコメント実施後、違法民泊への課税補足の根拠がなく、宿泊客への転嫁の保障もなく、零細な宿泊事業者が宿泊者から税を徴収できず、自腹を切るなど、営業を圧迫しかねないなどの懸念が出され、零細な宿泊事業者から、「宿泊税制度の見直し」を求める請願が出されました。また、目的税としながら使い道が無限定になっている等の問題が置き去りにされたまま、京都では10月実施となりました。
 
まだ、宿泊税の申告納税は始まっていませんが、すでに「宿泊税なんて聞いていないは払いたくない」などとトラブルが発生しています。宿泊事業者に、転嫁の保障もない制度で、特別徴収を義務付け、旅行者とトラブルを起こすような制度を強引に押し付けた行政の責任が問われます。
「オーバーツーリズム」「観光公害」など、京都観光の満足度は低下し、日本人旅行客は減少しています。そのうえ、外国人からも見放されかねない事態です。
 
金沢に来る外国人観光客は「京都は人が多すぎる」と金沢で宿泊する、というお話も伺いました。門川市長は「宿泊施設は過剰ではない。まだまだ足りない」とさらに拡充・誘致方針を続けようとしています。

金沢市では、実施前ですが、宿泊事業者や、地域住民、商店街から「街をまもれ」との声が上がり、宿泊事業者も電話でのアンケート調査を行うなど、反対の声が高く練ってきているそうです。

京都でも、実施されましたが、6項目の付帯決議が付き、1年6か月後の見直しを求めています。

京都でも、金沢でも、宿泊税ありきで、零細事業者の営業を脅かし、旅行者とのトラブルが発生し、何より、「受益と負担」などと言って、税の原則である、富の再配分機能を無視した「宿泊税」ではなく、京都では1兆円を超える観光消費が、の大半が宿泊消費であり、京都市外資本の外資などのホテルでの消費ではないのでしょうか。観光消費額が、特定の企業の儲けに偏ることがない、地域に循環するような経済政策への転換こそ必要です。

(更新日:2018年10月27日)